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劇場版
〈解説〉 |
本編第26話『いるかいないかフェニックス』とパラレルストーリーになるもので、フィルムの一部分が劇場版のものと共用になっている。劇場公開に先立って本編の放映があったため、やはり劇場でもテレビで見たとの声があったが後半はまったく別物で見ごたえのあるものになっている。
〈ストーリーあらすじ〉 |
のどかな夏の昼下がり、マリーベルたちはローズおばあちゃんの家でお茶会です。ところが今日のローズパイは、上にフェニックスのかざりが乗せられた豪華なもの。実は今度の日曜日はマリーベルのおともだちのフェニックス、トートーの誕生日。五百年に一度、火の中に飛び込んで体を焼き、その灰の中からよみがえる伝説の鳥フェニックス‥‥今日はそのお祝いの練習のために作ったのです。
フラワーハウスに戻って遊ぶマリーベルたち。マリーベルはユーリとケンを花魔法界に招待することにしました。花魔法界は妖精と魔法使いの住む国。フェニックスも花魔法界の住人なのです。花魔法界は人間が入ってはいけない聖域だけど、ユーリやケンみたいに妖精とお友達になりたい人なら大丈夫。「じゃあ今度の日曜日の朝、ここに集合ね!」 ところがなんと、マリーベルの秘密をさぐろうとやってきたジートがこの話を聞きつけてしまうのです。
そしてその日曜日の朝。マリーベルたちがフラワーハウスでユーリたちを待っているととつぜん外からビビアンとケンの声が。フェニックスがいるかいないかでちょっとしたケンカになっていたのです。ところがマリーベルが出てきて言うことには、「いろいろ想像で書く人もいるけど、フェニックスは本当にいるのよ。」 一緒にトートーの誕生日を祝いに行こうという誘いをことわってビビアンはさっさと帰っていってしまいます。
「さあ、それじゃあそろそろ行きましょうか!」 ローズおばあちゃんからあずかったローズパイを持って、さっそく花魔法界に出発です! フラワーハウスはその天井裏にあたる展望室がそのコントロールルームになっていて、フラワーハウスそのものを飛ばしたり、フラワーハウスに乗って花魔法界と人間界を行ったり来たりできるのです。「マリリンベルルンリンリンリ〜ン、花魔法界へレッツゴー!」 ところがなんと、話を聞きつけていたジートもフラワーハウスに乗り込んでしまうのです。
なにも知らずにフラワーロードを通りぬけて花魔法界にやってきたマリーベルたち。あたり一面美しい木々や花々に覆われた虹色の美しい世界、花魔法界‥‥「な、なんという世界だ‥‥」 あまりの光景に驚くジート‥‥妖精たちもたくさん現れて大よろこび。ところがどこかでカメラを落としてしまっていたのです。ジートは紙とサインペンを取り出しメモを取るのです。「こんなチャンスを逃す手はない! みんな記録するぞ、うんうん。」
フェニックスのトートーの住みかにやってきたマリーベルたち。ところが出てきたのはよぼよぼで老いぼれおじいちゃんの鳥。とりあえずフラワーハウスでローズパイを囲んでみんなでお祝い。トートーは今日でちょうど五百歳です。
「今日君たちに会えてよかった。ありがとうマリーベル、わしのためにこの子たちを連れてきてくれたんだね?」
‥‥地球が生まれた時、地球に生きるすべての者の番人として生まれてきたフェニックス。その時代の生き物が住みやすい星に地球を変えてゆく、それがトートーの役目なのです。そして人間が生まれたとき、トートーは人間をすべての生き物のリーダーとして選んだ‥‥それは、人間には心があったから。とっても美しい心を持った人間が、とっても美しい星に地球を生まれ変わらせてくれたらどんなに素晴らしいことでしょう‥‥そんな美しい心がフェニックスのかぎなのです。フェニックスは五百年ごとにこの心の取り替えて新しく生まれ変わります。人間なら誰でも持っている心のかぎ。トートーは自分のかぎ穴とピッタリ合う心のかぎを見つけなければなりません。ところがそのかぎは五百年ごとに形が変わり、それがどんなかぎで誰が持っているのか、トートーですら分からないのです。ユーリとケンがそのかぎを持っているのではと連れてきたけどダメみたい‥‥「まだ分からないさ、もしかしたらフライトの途中でユーリとケンのかぎに出会えるかもしれんよ。」 フライトとはトートーが心のかぎを見つけるために地球を何度もまわる儀式のこと。まわっているうちにかぎを持つ人とめぐり合うのです。
そんなころ、マリーベルの丘に登ってきたユーリのパパとママ。「そういえば、この丘に登るの、はじめてね。」「こんなにきれいなところだったんだね。」 やってきたローズおばあちゃんと一緒にマリーベルの家にいくと、なんと、フラワーハウスがないのです。「きっと家ごとおでかけしたのよ、少し待ってましょう。」 ローズおばあちゃんは事もなげ。とつぜん目の前が光ったかと思うとフラワーハウスが出現します。あぜんとするユーリのパパとママ‥‥ローズおばあちゃんからマリーベルが花の魔法使いだと聞いてさらにびっくり!
「マリーベル、わしはそろそろ行くよ。誕生日が終わらんうちにな。」 フラワーハウスから出てきたトートーはローズおばあちゃんにパイのお礼を。ところが煙突にかくれていたジートが屋根の上からトートーに襲いかかります! 「ぼくのもんだ!」 しかしトートーに届かずジートは地面に激突。とりあえず安心‥‥と思ったら、とつぜんジートとトートーが電撃のようなものに包まれるのです! すさまじい光にマリーベルたちはふきとばされてしまいます。
「トートーが生まれかわるのよ!」 しかしなんとジートが持っていたのはマイナスのかぎ。みるみるうちにトートーは凶悪な恐ろしい翼を持つ悪魔の鳥になるのです。「みんな逃げて!」 トートーは空に舞い上がります。このままでは地球はあと五百年間、闇の世界になってしまいます! 空を行くトートーのあとに伸びてゆく暗黒の雲。この雲、太陽の光をさえぎる闇夜ガスに地球がつつまれてしまったら、地上に住むすべての植物も動物も死に絶えてしまいます。でも、プラスのかぎが見つかればもしかしたら‥‥「マリーベル、行こう!」「あたしたちで探すのよ!」 マリーベルとユーリ、ケン、リボンは魔法の香水で大空へ舞い上がります。
すでにかなりまき散らされてい闇夜ガス‥‥トートーは速いから闇夜ガスをたどったのではとても追いつけないし、ガスはべとべとで吹き飛ばせそうにもないのです。そこでマリーベルはフラワークリーナーで闇夜ガスを吸い込みます。みるみるうちに吸い込まれていく闇夜ガス。ところがあまりの量にクリーナーが途中でつまってしまうのです。そこにとつぜん後ろから襲いかかってくるトートー! マリーベルは叩き落とされ地面へまっ逆さま! なんとかタンバリンが助けたもののマリーベルは意識を失ったまま‥‥とりあえず池のほとりにマリーベルを横たえるのです。「大丈夫、気絶してるだけさ‥‥」 しかし安心したのもつかの間、なんとそこにトートーが降りてきたのです! マリーベルに迫るトートー‥‥「‥‥食ってしまうぞ‥‥!」 その大きな口ばしでマリーベルの前に立ちふさがるユーリとケンをおどすのです。「逃げろ! ユーリ、ケン、リボン!」「いや! マリーベルを食べるんならあたしを食べて!」「ぼくも!」「マリーベルはあたしの友達よ! 食べさせないんだから!」 ふっと一瞬動きが止まるトートー。しかし次の瞬間にはその大きな口を開いたかと思うとユーリとケンに! ‥‥ところが、覚悟して目をつむったユーリとケンの寸前のところでトートーの動きが完全に止まるのです。「どうしたんだ‥‥?」 するととつぜんトートーの体が輝き出します。トートーの体は小さくなり、燃えさかる美しい炎に包まれるのです。
「やった! フェニックスの炎だ!」 炎は次第に金色に‥‥マリーベルも意識を取り戻し、あの闇夜ガスも次第に消えてなくなるのです。「だいじょうぶ、マリーベル?」「どうもありがとう、ユーリ、ケン、リボン!」 そして燃えさかる炎の中からついに黄金に輝く新しいトートーが生まれます。「やったね、トートー! お誕生日おめでとう!」‥‥フェニックスのかぎは、ユーリやケンの友達を思う心だったのです。
そして生まれ変わったトートーは大空へと飛んで行きました。トートーは空の上から、地球を、みんなを見守ってくれるのです。ユーリとケンのおかげでフェニックスは生まれかわることができたのでした。
Marybell Story Digest Ver.1999.07.24