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第49話 (93.01.11放映)
〈解説〉 |
マリーベルの生い立ちなどがこのシナリオで初めて語られる。各々のキャラクターの動きが絶妙で、まさに最終話に向かってすべてが動き出すそのまとめ役を担っているシナリオである。
〈ストーリーあらすじ〉 |
聖なる樹に取り込まれそうになるマリーベル‥‥「起きてマリーベル!」 しかしマリーベルは意識を取り戻さないまま‥‥ところがそのころ、聖なる樹のもとでなんとシェルボー教授が隠れていた妖精たちを発見! 捕獲してしまうのです。「やったぞ! はっはっは! 妖精を捕まえたぞ!」 高らかなシェルボー教授の笑い声‥‥一方マリーベルはついに完全に取り込まれてしまうのです。
ところがとつぜん空からまばゆい光が。ようやく光がおさまってそこに出現したのはなんとフラワーロード! 「あれは‥‥」 そこから一筋の光が伸びて聖なる樹を直撃! 聖なる樹の中からマリーベルとタンバリンを吸い出すのです。シェルボー教授が持っていた妖精カゴも分解! せっかく捕まえた妖精に逃げられてしまいます。「そうか! シェルボー教授の目的はやっぱり妖精を捕まえることだったんだな!」 カゴから飛び出した妖精たちはマリーベルのもとへ‥‥マリーベルは光の筋にどんどん吸い上げられていきます。
「マリーベル!」 マリーベルを追ってユーリとケンはかけ出します。「ユーリ‥‥」 とつぜん誰かのやさしい声が…「だれ‥‥? だれなの‥‥?」「マリーベルは花魔法界へ連れて帰ります‥‥私の名はフローリア。花魔法界の心です‥‥マリーベルは聖なる樹との闘いで疲れきっています。このままでは人間界にとどまっていることはできません。聖なる樹も連れ戻したいのですが‥‥今の私の力では少しの間動きを封じるのが精いっぱいです。人間の未来を、どうか‥‥どうかみなさんのお力で聖なる樹を花魔法界に戻してください‥‥どうか‥‥」
とつぜん砕け散る光! 聖なる樹がまた再び動き出したのです。根を振り回してあばれる聖なる樹‥‥再び全世界の花や木を吸い始めます。
ローズおばあちゃんの家に集まってため息をもらすみんな‥‥聖なる樹を倒すために出動した軍隊も歯が立たずことごとくやられてしまい、聖なる樹の恐怖に全世界がおびえているのです。そんな中、窓から草花のない庭を眺めるローズおばあちゃん‥‥「なにを見とるんじゃローズ?」「庭を見てたんですよ‥‥花のない庭はなんてさみしいのかしらと思ってね‥‥こんなときに‥‥マリーベルがいてくれたらね‥‥」
一方シェルボー教授は大学に閉じこもっていました。元はと言えばシェルボー教授の街の改造計画のせいだと多くの人がシェルボー教授を袋叩きにしようとしているのです。一人静かに机に座るシェルボー教授‥‥シェルボー教授は、あの忌まわしい聖なる樹を倒すべく策を練っていたのです。
ユーリとケン、そしてリボンはマリーベルの丘にのぼってサニーベルの街を見ていました。街にそびえる巨大な聖なる樹、そしてあの美しく咲き乱れていた草花の面影すらまったくない一面茶色い地面のこの丘‥‥そこにやってきたバートさんがユーリたちにたずねるのです。「そんなところでなにをしとるんじゃ‥‥?」「マリーベルを、待ってるの‥‥」「ぼくたち、この丘の上でマリーベルと出会ったんだ‥‥」「だから、きっと、マリーベルはここに‥‥帰ってくるわ‥‥」「じゃといいの‥‥わしもマリーベルが戻ってくると信じておる。あの子は必ず帰ってくるさ。」
バートさんもユーリたちの隣に座ってマリーベルの帰りを待つのです。いつの間にか太陽もかたむき海の向こうに隠れようとしています‥‥「わしゃな‥‥花も嫌いじゃったが人間も嫌いじゃった‥‥おまえたちが隣に越してくる前まではな‥‥だがおまえたちとマリーベルがやってきてからは、わしのまわりにはいつも花と人間があふれておった‥‥そのことにたった今、気付いたんじゃよ‥‥」
するととつぜんユーリたちの後ろで地面が光を放ちます。「こ、これは‥‥」「フラワーハウスがあったところだ!」 マリーベルがやってきたときと同じ光‥‥花魔法界への入口に違いありません! 「行きましょ! バートさん、パパとママに伝えてください! あたしたちは、マリーベルに会うために花魔法界に行ったって!」 バートさんを残してユーリとケン、リボンは光の中へと飛び込みます。
ところがユーリたちが出てきた花魔法界は、花も木もないまさに死の世界だったのです。あの美しい花も木も、まったくなくなってしまっていたのです。「これが花魔法界‥‥?」
するとユーリたちの前がとつぜん輝き、その光の中からフローリアが現れるのです。「フローリア、マリーベルはどこにいるの?」「マリーベルは、そこにいます。」
フローリアが指さした地面には一輪のマリーベルの花が‥‥「これが‥‥マリーベル‥‥?」「いいえ、それはマリーベルの花。夢のエネルギーをなくしたマリーベルはその花の中に戻ってしまったのです。妖精や花の魔法使いたちは、あなたたち人間や動物たち、鳥や魚や虫たちの夢を見る心が生み出したものです。」
「夢を見る心が生み出した‥‥?」「そうです、だから夢のエネルギーをなくしたマリーベルは、マリーベルの花の中で眠っているのです‥‥マリーベルが生まれたのは、ちょうど人間が誕生したころです。マリーベルは、人間たちの夢を一番たくさんもらった、花の魔法使いなのです。」「その中には、あたしたちの夢も入っているのね!」「ええ、もちろんです。マリーベルがユーリとケンとリボンからもらった夢は、誰よりもたくさんあったんですよ‥‥だからマリーベルは、あなたたちのところに現れたのです。」
「フローリア、おしえて! どうしたらマリーベルとタンバリンがよみがえるの?」 フローリアが手を差しのべるとユーリとケンの足元の地面が光り出します。「『心の扉』です‥‥のぞいてごらんなさい。きっと、マリーベルに会えますよ。」 ユーリたちが中をのぞくとマリーベルとタンバリンが眠っているのです。「さあ、ユーリ、ケン、リボン、あなたたちのすてきな夢を、マリーベルに届けてあげるのです‥‥マリーベルのことを考えるのです‥‥マリーベルに、自分がすてきだと思ったことを話しかけるのです。マリーベルに、あなたたちの想いが伝わったとき、なにかが起きるはずです。」
目をつぶるユーリ、ケン、リボン‥‥「マリーベル‥‥」 もうすっかり夜になったサニーベルの街‥‥ビビアンやボンゴ、タップ、ジート、バートさん、ローズおばあちゃん、タクローやレミもマリーベルをうわごとのように‥‥そして金色に輝きだすみんな‥‥それと同時にマリーベルの花やマリーベルも黄金に輝き始めるのです。だんだん強くなって一瞬まばゆい光が!
‥‥光がしずまり、はっとユーリとケンが振り返ると、マリーベルの花からマリーベルが現れるのです! 「は〜い! ありがとう、ユーリ、ケン、リボン!」「ううん、あたしたちだけの力じゃないわ!」「うん、ぼくも見えたよ、パパやママやビビアンたちが!」「うん! みんな、あたしに夢を分けてくれたの。とってもうれしかった!」
「そうです、マリーベル。あなたの魔法は、みんなの力によって生まれてくるもの。その力を信じて使えば、聖なる樹にもきっと効果はあるはずです。」「ありがとう、フローリア! マリーベルに、おまかせよ!」
ところがそのころ、人間界ではとんでもないことが起きていたのです。なんと、夜明けと同時にシェルボー教授が強力な火炎放射器で聖なる樹を焼き払おうとしていたのです。真っ赤に燃える聖なる樹‥‥「はっはっは! 見たか! 人間さまの手にかかれば木などこんなもんさ! ざまあみろ!」
高らかに響くシェルボー教授の笑い声‥‥なんとかシェルボー教授を止めなければ! マリーベルたちは急いで人間界に戻るのです。
〈次回予告〉 〜 #50 「夢をあなたに」 〜 |
はーい、わたし、マリーベル。シェルボー教授が聖なる樹に火を放ってしまったの。おこった聖なる樹は大あばれ! やめて、シェルボー教授! 聖なる樹さん! あらそうことより、もっとたいせつなことがあるのよ! 次回、花の魔法使いマリーベル、最終回『夢をあなたに』。マリーベルに、おまかせよ!
Marybell Story Digest Ver.1999.07.24