第15話 (92.05.11放映)

〈解説〉

 ユーリの魅力を存分に引き出してくれる素晴らしい一作。アデリーやピッチーの話とは対照的なもうひとつの違う魅力を、銅像の王子さまを通して描くかわいい恋の物語である。またシナリオもさることながら、作画監督の千羽由利子氏の作画がユーリの心情を見事に描写しているのもひとつの見どころと言えよう。

〈ストーリーあらすじ〉

 ユーリたちが公園で見つけた銅像の王子さま。それは、サニーベルの街を舞台にした童話に出てくる王子さまでした。昔、サニーベルに住んでいた一人の女の子の、王子さまに会いたいという願いを花の妖精さんがかなえてあげた‥‥童話をローズおばあちゃんに聞かせてもらってユーリもうっとり。「すてき、あたしも王子さまとダンスが踊れたらいいなぁ‥‥」

 王子さまとお話がしたくなったマリーベルは、次の日魔法で王子さまをしゃべれるようにしたのです。突然話せるようになった王子さまはちょっとしどろもどろ。と、そこへ銅像をきれいにしようとユーリがお掃除をしに来ました。とってもきれいになった銅像を見て、「あたしも、こんな王子さまに会えたらいいなぁ‥‥」「うん、そうだね!」 ユーリはマリーベルを残して帰って行きました。

 すると、銅像がマリーベルにお願いをするのです。「マリーベルさん、あなたの魔法で私を動けるようにしていただけませんか? あの、その、ユーリって子とお友達になりたいんです。」「うん、分かったわ! マリーベルタンバリン! 魔法の時計よ出ておいで!」 魔法は今日の夜十二時まで。銅像は、本物の人間となって動けるようになったのです。

 ユーリとケンに後から追いついたマリーベルたち。王子さまは銅像であることを秘密にしてジョージと名乗ります。すぐに仲良くなったみんなは公園でフリスビーをして遊んだり。ユーリとジョージはとってもいい雰囲気です。

 そして夕暮れ。ユーリたちと分かれたあと公園へ戻ってみると、なんと、銅像がなくなったのが見つかってちょっとした騒ぎになっていたのです。

 日も沈み、もうすっかり暗くなってしまいました。すると急に、ジョージが銅像に戻ると言い出したのです。これ以上騒ぎが大きくなったらマリーベルにも迷惑がかかるから‥‥でも、魔法が消えるまでまだ三時間もあるのです。「ジョージはそれでもいいの?」「ええ、ただ一つだけ心残りが‥‥ユーリさんと、一度でいいからダンスを踊ってみたかった‥‥」

 「そんなの簡単よ! マリーベルに、おまかせよ!」 マリーベルは、花馬車に乗ってユーリを迎えに。「ユーリ! 大変なの、ジョージが遠くへ行っちゃうの。」 マリーベルと共に公園に駆けつけたユーリ。「遠くへ行ってしまうんですって‥‥?」「はい、今夜十二時に‥‥」

 「あの、これ‥‥」「ありがとう、ユーリさん」 ユーリが差し出した一輪のバラを受けとって胸に刺したジョージ。「どうか一緒にダンスを踊ってください。」「はいっ。」 ユーリも思わず微笑みます。

 「それじゃあ、マリリンベルルンリンリンリ〜ン、花の舞踏会のはじまりよ!」 マリーベルの花魔法で、ユーリのネグリジェは美しいドレスに変わるのです。

 ジョージとダンスを踊るユーリはとってもきれい。「はーい、どんどんいくわよ!」 マリーベルは花魔法でダンスに花を添えるのです。妖精さんもジョージとユーリを祝福してくれているよう‥‥でも、十二時はもうすぐなのです。

 あと十分‥‥マリーベルはとうとう花魔法を解いてしまいます。

 「ジョージ、もう、時間よ‥‥」 ジョージの少し寂しそうな顔‥‥ユーリも寂しそう‥‥「もう、会えないの‥‥?」「いいえ、会えますよ、きっと。」「さようなら、ユーリさん‥‥」「さようなら、ジョージ‥‥」

 ジョージは花馬車に乗って空に飛んで行きました。「さようなら、わたしの王子さま‥‥」 ユーリはいつまでも、花馬車が去っていった空を見つめていました‥‥

〈次回予告〉 〜 #16 「うちのパパはゲーム作家」 〜

 はーい、わたし、マリーベル。ユーリのパパさんは、むかし、テレビゲームを作る会社につとめていたの。その会社の社長さんがたずねてきたんだけど、あたらしいテレビゲームを作れなくて、困ってるみたい。よーし、マリーベル流テレビゲームの作りかたを、教えちゃうわね! 次回、花の魔法使いマリーベル、『うちのパパはゲーム作家』。マリーベルに、おまかせよ!


  

Marybell Story Digest Ver.1999.07.24