第32話 (92.09.07放映)

〈解説〉

 流れるようにキャラクターが動いていくシナリオの展開が実に見事で、ボビーやマリーベルたちの流れが非常に素晴らしい。中でも特にラストシーンは感動的で、強く心に残る一作であると言えよう。

〈ストーリーあらすじ〉

 今日はユーリとパパとママの結婚記念日。そのお祝いのための買い物の帰りがけ、マリーベルはマーズおじいさんの古道具屋ですてきなテーブルランプを見つけます。バラの花と妖精さんが描いてあるそのテーブルランプは、聞いてみればユーリのパパとママが結婚して初めて買ったもの。修理に出したときにマーズさんが気に入って、お店に飾ってもらっているのです。すてきなテーブルランプを持つ家には幸せが訪れるというサニーベルの言い伝え‥‥お祝いのときにみんなで願いをかけると、テーブルランプに住む妖精がその願いをかなえてくれるといいます。ユーリのパパとママはお祝いのときにはいつもそのテーブルランプを飾るのです。

 ところがなんと、そのテーブルランプを男の子が持っていってしまうのです。「あしたには絶対返すから! ごめんなさい!」 その男の子は、ちょうどテーブルランプを取りにきたマリーベルたちにぶつかりながらも逃げて行ってしまいました。

 マーズさんに詳しく話を聞いてみれば、その男の子は前からテーブルランプを見に来ていたというのです。‥‥「このランプになら妖精がいるかな?」「そうだな、こんな素晴らしいランプなら飛びきりの妖精がいるさ。」 しかしランプが売り物でないと知ってがっかり‥‥よほど気に入っていたらしいのです。

 マリーベルたちはその子が落としたカモメのペンダントのにおいを追って家をつきとめます。入ってみればその子がテーブルランプを抱えもっているのです。裏口から逃げ出すその子を追ってマリーベルたちは港へ。迷路のようになっているコンテナ置場へ逃げ込まれ、なかなか捕まえられません。

 「ここはぼくの庭みたいなもんさ、絶対につかまるもんか!」「そうはいかないわよ!」 とつぜん横に現れたマリーベルにびっくり! さらに逃げ出した先にはユーリやケンが。タンバリンが空から見張って行き先をみんなに教え、フラワーループで先回りしているのです。とうとう四方を囲まれたその子は巨大化したタンバリンにおどろいてランプを投げ出してしまいます。ところが取り返そうともみあいになってランプを取り落とし、なんと、ランプはこなごなに砕け散ってしまうのです。砕け散ったテーブルランプを目の前にして、その子は泣き出してしまいました。

 ‥‥その子の名はボビー。お父さんは船乗りで世界中を行き来していてなかなか会えません。そんなボビーがおみやげにお願いしたのが、今日のボビーの誕生日のために帰ってきて一緒にお祝いすることだったりです。ところが航海が長引き、誕生日までに帰ってこれそうにない‥‥ちょうどその時、マーズおじいさんの古道具屋で見つけたテーブルランプ。その妖精に、お父さんが帰ってこられるようお願いしようとしたのです。

 「ボビー、妖精さんはね、とってもやさしい心が好きなの。さびしい心やかなしい心の人に、たのしくてやさしい心を取りもどしてほしいって思ってるの。それで願いをかなえてくれたり、夢を見させてくれたりするの。でもね、お願いする人がずるい人だったり悪い人だったら、ぜったいにお願いなんて聞いてくれないわよ。」 それを聞いてボビーは反省するのです。「妖精さん、ごめんね‥‥」

 「テーブルランプはマリーベルにおまかせよ! マリリンベルルンリンリンリ〜ン、テーブルランプよ、もとどおりにな〜れ!」 そして、花魔法で元通りになったテーブルランプから妖精さんが飛び出してくるのです。妖精はボビーの元に飛んできてにっこり微笑みかけるのでした。

 ‥‥そして夕方。マリーベルたちはボビーの家に行って一緒に誕生日を祝うことにしました。おおぜいの誕生パーティにボビーもうれしそう。ところが、ろうそくを吹き消してお祝いをはじめようとしたちょうどそのとき、玄関のドアが開いて誰かがやってきたのです。花たばを持って入ってきたのは、なんとボビーのお父さん。どうしてもボビーの誕生日に帰ってこようと仲間の船に乗りかえて戻ってきたのです。帰ってこられないと思っていたお父さんが帰ってきてボビーは大よろこび。テーブルランプは、ボビーにも幸せを連れてきてくれたのでした。

〈次回予告〉 〜 #33 「マリーベルのパパとママ」 〜

 はーい、わたし、マリーベル。ジャンジャジャ〜ン! ついに出ました! あたしの、パパとママ。パパベルと、ママベルぅ! え〜? あの超有名人、パパベルママベルを知らないですって? じゃ、みんなに紹介してあげるわね! 次回、花の魔法使いマリーベル、『マリーベルのパパとママ』。マリーベルに、おまかせよ!


  

Marybell Story Digest Ver.1999.07.24