![]() |
第39話 (92.10.26放映)
〈解説〉 |
前編に続くシナリオであるが、シナリオ中でも特にトウモロコシの妖精とジートの会話が必見の部分であろう。押さえるところはきっちり押さえた作品作りが非常に心地よい一作と言えよう。
〈ストーリーあらすじ〉 |
捕らえたタンバリンを持ってシェルボー教授の元へ向かうジート。異様な格好で乗り込んできたジートにシェルボー教授は多少とまどいながらも目の前の妖精に目を輝かせるのです。
一方マリーベルたちはなんとか家にたどりつき、さっそく警察に頼んでジートを手配してもらいました。「バートさん、ジートくんをどうなさるおつもりですか?」「ふん、あんなやつは刑務所の中に死ぬまでぶちこんでやるわい!」
「マリーベル、ジートはシェルボー教授のところにタンバリンを連れていくって言ったんだね?」‥‥しかしそのシェルボー教授というのはサニーベル大学の有名な生物学者で、いつもにこにこしていて誰からも尊敬されている人。みんなは首をかしげてしまいます。
そのころ、シェルボー教授とジートはタンバリンの生態を観察していました。すさまじい食欲にぼうぜんとする二人‥‥「ところで教授、助手にしていただく件と人類初の妖精を捕まえた者として本に名前を乗せていただく件、よろしいですね?」「いいとも、さっそく手配しましょう。」 しかしそれを横目にケーキやらフルーツやらを差し出せというタンバリン‥‥「自分がこれからどうなるのか不安がないのかね‥‥? まあそこまで知恵が働かないということだろうね。」「冗談ぽいぽい! マリーベルが必ず助けに来てくれるからぜんぜん心配なんかしてないのさ。」
「教授、警官が面会を求めております。」 どうやらジートを追ってきたらしいのです。ジートを帰らせて表に出てブラとノッポに会うシェルボー教授‥‥「確かにジート君は学生時代私のゼミの優秀な学生でした。しかし最近は顔を出すこともありません。」 その言葉に安心しきってブラとノッポは帰っていきます。
一方マリーベルたちはタクローもいっしょに花馬車に乗って大学の裏手へとやってきました。「まずタンバリンがいるかどうか、確かめなくちゃ。ジートがシェルボー教授の名前を利用しただけかもしれないからね。」 ところがそこにやってきたブラとノッポにはちあわせ。二人からさっきの話を聞いてがっかりするみんな‥‥ブラとノッポは帰っていきました。
当てがなくなって困るマリーベルたち‥‥「よ〜し、しらべてみるわ! マリーベルタンバリン! 妖精笛よ、でておいで!」 するとそれを聞きつけたトウモロコシの妖精さんがやってきてくれます。トウモロコシ畑からジートにくっついてきたこと、そしてタンバリンがシェルボー教授の研究室に捕らえられていることを聞くのです。ちょうどやってきた警備員に追い出され、とりあえずいったん引き下がって再び出なおしてくることにしました。
ところがなんと、明日のスペシャル番組でシェルボー教授が妖精の解剖をするというのです。解剖なんかされたらいくらタンバリンでも死んでしまいます。これで自分も有名人だと上機嫌で街を歩いていたジートもその話を聞いてふるえ出してしまいます。「タ、タンバリンを解剖するなんて‥‥ぼくはそんなことシェルボー教授から聞いていないぞ‥‥!」
大慌てでシェルボー教授に電話をかけるジート。「いったいどういうことなんですか!」「ジート君、私は妖精を解剖することが若い頃からの夢だったんだよ。生物学を学ぶ者として、妖精の実在を証明したのちは人間と妖精との違いを確かめねばならない。君も助手として参加しても構わんぞ。なにしろ人類の歴史に残る画期的な妖精解剖実験だからね。」「教授! ぼくが妖精にこだわってきたのは、ぼくたち人間の分からないところで暮らしている不思議な生物、妖精、その存在を世の中の人々に知らせたかったからなんです! それを解剖するなんて‥‥そんなことひどいじゃないですか!」「ジート君、君はまだまだ若いね。私たちは生物学の専門家なんだよ。この解剖実験は生物学者としての私たちの使命なんだ! いまさらあとには引けんよ!」 その言葉を最後に電話は切れてしまうのです。電話ボックスの中でうなだれるジート‥‥
「教授は間違っている‥‥」 するとジートの元にあのトウモロコシの妖精さんが姿をあらわすのです。
「ジート、マリーベルといっしょに、タンバリンを助け出すといいよ。」「マリーベルと‥‥? でもぼくはさんざんマリーベルに悪いことをしてきたからな‥‥」「ジート、あなたが子供のころトウモロコシ畑で最初に会った妖精は、あたしなの。覚えてる?」「‥‥忘れられるもんか‥‥」「ジートがあたしたち妖精と友達になれる人間だと思ったから、あのときあなたの目の前にあたしたちはあらわれたんだよ。大きくなってから、何度もあなたはあのトウモロコシ畑にきたけど、あなたはわたしたちをつかまえようと思ってた‥‥だからあたしたちあなたの前にあらわれなかった。過ちに気付いたら、すぐおわびして改める。それが大切‥‥タンバリンを解剖するなんて、よくないよ! あやまれば、マリーベルはきっとゆるしてくれるわ。ジートはいい人のはず。タンバリンを助けましょう!」
一方マリーベルたちは夜になって行動を起こします。裏口からフラワーループを使って大学に侵入。タンバリンの元にやってきてフラワーループで救出! ところがタンバリンがケースを出ると防犯ベルが鳴りひびきます。逃げようとしたドアから警備員が! 「誰だ君たちは! こんなところでなにをしてるんだ!」
とつぜんマリーベルたちのうしろのドアが開きます。「マリーベル、こっちだ!」 なんと、その声の主はほかならぬジートだったのです。
「ここはぼくにまかせて、タンバリンと一緒に逃げるんだ!」 遠くの方からパトカーが近付いてくる音が。ジートは警備員に突撃して無理矢理押え込みます。「みんな、逃げるんだ!」 しかしジートも二人の警備員には勝てず、とうとう壁に追い詰められてしまいます。「無駄な抵抗はやめなさい! もうすぐ警察が来るぞ!」
「マリリンベルルンリンリンリ〜ン! お花のガードマン、出ておいで!」 ジートを助けるため、マリーベルは花魔法を使うのです。背丈よりも高いお花の化物にせまられて警備員たちは逃げて行ってしまいました。
「さあ、今のうちに帰りましょう!」「マリーベル、ぼくが悪かった。許して欲しい‥‥」 ジートは床に頭を下げて謝るのです。「ジート、もういいわよ。いっしょに行きましょう!」
‥‥そして次の日。シェルボー教授は予定どおりテレビに出演。「今日これからみなさんにお見せする妖精は、私シェルボーが長年苦労の末、人類史上初めて捕まえたものです。私の偉大なる功績であります。さあ、この中に入っております。世紀の一瞬ですぞ!」 取り払った幕の中から出てきたのはケースに入れられたタンバリン。それが風船だとも知らずに淡々と続けるシェルボー教授。「どうです? かわいいもんでしょう。これが妖精の一種のシーリーコートです。私の偉大なる発見にちなみまして、学名はシェルビックシェルボンと名づけました。」 その言葉に沸きかえる観衆‥‥ところがステージの影からマリーベルがステッキをひとふり。するとケースの中のタンバリンがとつぜんふくらみ始めるのです。
「ど、どうしたことだ?」「き、教授、これは風船ではありませんか?」 ついにはケースをつきやぶってタンバリン風船は破裂! テレビ番組もめちゃくちゃです。みんなに責めよられるシェルボー教授。これで教授の野望も水の泡となったのでした。
〈次回予告〉 〜 #40 「コスモスの妖精を捜して」 〜 |
はーい、わたし、マリーベル。森で泣いてるコスモスさんたちに出会ったの。コスモスの花の妖精が、いなくなっちゃったんですって。たいへん! このままじゃ、コスモスさんたちは来年、花をさかせることができなくなっちゃうわ! 次回、花の魔法使いマリーベル、『コスモスの妖精を捜して』。マリーベルに、おまかせよ!
Marybell Story Digest Ver.1999.07.24