![]() |
第47話 (92.12.21放映)
〈解説〉 |
『はばたけピッチー大空へ』の後編にあたるシナリオで、本編全話中でも間違いなく屈指の名作のひとつ。遠藤監督自らが脚本を担当しており、第8話からの約九ヶ月というタイムスパンがこのシナリオの感動をさらに深くしていると言えるだろう。まさに至福の一作である。
〈ストーリーあらすじ〉 |
サニーレイクにやってきたマリーベルとユーリ、ケン。寒い冬を越えるために今年も北の国からカルガモたちがやってきました。ユーリは今年の春、ピッチーというケガをしたカルガモの子を看病したのです。北の国へ帰って行ったピッチーは、また再びここサニーレイクに戻ってきているはず。たくさんいるカルガモたちの中からピッチーをさがそうとユーリはきょろきょろ。ピッチーを助けたのはもう半年以上も前のこと。きっともうお母さんになっているはずです。
「ユーリ、呼んでみたら?」「うんっ。ピッチー!」
ところがピッチーは現れません。まだ来ていないのかも‥‥「いくらなんでももう来てるって。きっと恥ずかしがってんだよ。」「そうね、ほかのカルガモさんに聞いてみましょう!」
ところがマリーベルが聞いてみれば、なんと、北の国を出るとき一緒だったピッチーはここについたときにはいなくなっていたというのです。あまりのことにユーリはピッチーが心配でたまりません。「ピッチー‥‥」
そんなユーリをはげまそうとタンバリンが言葉をかけるのです。「だ、だいじょぶだって! きっとなんかの理由で遅れてるのさ。」「なんかの理由‥‥?」「そうそう、だいたい北の国からの旅なんてそんなになまやさしいもんじゃないんだから。」 あわててタンバリンの口を押さえるマリーベル。しかしユーリの顔はどんどん雲っていくのです。もしかしたら雷に打たれて海に落ちてしまったのかも‥‥「ピッチー‥‥きっとどこかで大変な目に合ってるんだわ‥‥」 ユーリは泣き出してしまうのです。
「もうタンバリンだめじゃない! ユーリを不安にさせてどうすんのよ?!」「そ、そんな‥‥ぼくだってピッチーのことを心配してるだぜ。」「それは分かるけど、女の子はデリケートなんですからね、まったく無神経なんだから!」 その言葉にタンバリンは怒ります。「な、なんでぼくがそんなことまで言われなくちゃいけないんだよ!」「もうタンバリンったら! まだ分からないの?! ユーリは女の子なんだから!」「ふん! そんなこと知るもんか! とにかくぼくはもう協力しないからね!」「あーそうですか! 勝手にしなさい!」
タンバリンを置いてフラワーハウスに帰ってきたマリーベルたち。フラワーハウスの司令室に入って北の国をスクリーンに映し出し、ピッチーを探しますが見つかりません。「北の国といってもひろいから、見つけるのはむずかしいわね‥‥」
一方タンバリンはその夜サニーレイクへ。「君たちの飛んできたコースを教えてくれ!」 タンバリンはカルガモたちから話を聞いてさっそく出発します。「ったくもう、女の子ってのはほんとに世話がやけるんだから!」‥‥満天の星空の明かりの下、タンバリンはひとり海の上を北へ向かうのです。
朝になっても帰ってこないタンバリンを心配するマリーベル。「え? タンバリンが‥‥?」「ええ、ゆうべはとうとう帰らなかったのよ‥‥」「もしかしたらタンバリン、ピッチーのこと探しに行ったんじゃ‥‥?」
ようやっとたどり着いた北の国。ひと晩じゅう飛んでいたタンバリンはもうくたくた。一面の銀世界の中を気力だけでふらふらと飛ぶタンバリン‥‥しかしついにはタカにやられてタンバリンは地面にまっさかさま! 「もう力が出ない‥‥」 ところがなんとそこに、ピッチーがやってきてタンバリンを助けてくれるのです。「ピッチー? ホントにピッチーなんだね!」
ピッチーに連れられて近くの湖へ。「これがみんなピッチーの子供なんだ。」‥‥聞いてみれば、タンバリンをおそったあのタカにやられてお父さんがケガをしてしまい、それでここで休んでいたというのです。「とにかく、少しでも早く出発しなくちゃ。ユーリが待ってるよ、ピッチー!」 ところが飛び立ったのもつかの間、そこにあのタカが襲いかかってきます。「あいつだ! みんな逃げろ!」 逃げ遅れたピッチーの子供に襲いかかるタカ! しかしタンバリンは巨大化してタカを追っぱらうことに成功します。ケガをしたお父さんももうなんとか飛べるみたい。「よーし、それじゃあ出発だ!」 タンバリンを先頭に、ピッチーたちはサニーレイク目指して出発します。
ところがだんだん雲行きがあやしくなり、ついには吹雪に。すごい吹雪でもうほとんど何も見えません。「みんな! 離れるなよ!」 しかし最後には吹雪に押され、ピッチーたちはとうとう落ちていってしまいます。タンバリンは巨大化してピッチーたちを体の中に。「心配しないで、ぼくがこうしてつつんでいてあげるからね‥‥」 しかし吹雪の寒さの中、タンバリンは眠りかけてしまいます。必死に叫んでタンバリンを起こすピッチーたち‥‥「ねてないよ、起きてるよ‥‥」 そう言いながらもタンバリンの目は閉じかけているのです。「え‥‥? なぜそんなにしてまでたすけてくれるのかって‥‥? ぼくは‥‥ぼくはきみたちを無事につれて帰らなくちゃいけないんだ‥‥ユーリの‥‥ユーリの笑顔のためにね‥‥」 その言葉を最後についにタンバリンは目を閉じてしまうのです。
‥‥フラワーハウスでタンバリンの帰りを待つマリーベルとユーリとケン。夕方になってもまだタンバリンは帰ってきません。「そうだ! もしかしたら‥‥」 フラワードアのところにやってくるマリーベルたち。真冬の北国にお花なんて咲いているはずはないけれど、タンバリンはパンジーの花の妖精。タンバリンのことを思ってパンジーの花のドアを開ければ、もしかしたらタンバリンの元に行けるかもしれません。「マリーベル、あたしにやらせて! あたし‥‥あたし‥‥」「うん! ユーリ、お願い!」
ドアノブに手をかけてぎゅっと目を閉じるユーリ‥‥そしてゆっくり開けたドアの向こうには、夕陽で美しく輝く雪の世界が広がっていました。「マリーベル‥‥ここは?」「うん、きっとこの近くにタンバリンがいるんだわ!」
リボンが走っていって掘りだした雪をユーリたちも掘り返します。すると雪の中からタンバリンが! 「タンバリン‥‥タンバリン!」 タンバリンをひろい上げるユーリ‥‥タンバリンはようやく意識を取り戻します。
そしてタンバリンがいた下からピッチーの家族たちが出てくるのです。「ピッチー!」「またユーリに会えてうれしいってさ。」「あたしもすっごく会いたかった!」
こうしてユーリとピッチーはまたふたたび会うことができたのです。
ピッチーは子供たちに道を教えるため、花馬車に乗らずに飛んでいきます。花馬車からピッチーたちの飛ぶのを見守るユーリもうれしそう。そして夕陽の中、ピッチーたちと共にみんなでサニーベルの街へと向かうのでした。
〈次回予告〉 〜 #48 「サニーベルの一大事」 〜 |
はーい、わたし、マリーベル。たいへん! サニーベルの街じゅうの、花や木たちが、とつぜん逃げ出したの! シェルボー教授が考えた、街の改造計画のせいだわ! だってその計画は、花や木を、街の片すみに追いやってしまうものだったんですもの。次回、花の魔法使いマリーベル、『サニーベルの一大事』。マリーベルに、おまかせよ!
Marybell Story Digest Ver.1999.07.24