第16話 (92.05.18放映)

〈解説〉

 花の魔法使いマリーベルが花や人間、妖精、それらの関係をテーマにすることが多い中で、この一作はゲームを前面に打ち出している比較的異色なストーリーである。しかし内容的なものを見ると、その根底にはやはりこの作品らしいテーマが流れていると言えよう。

〈ストーリーあらすじ〉

 ユーリのパパ、タクローを訪ねてきたゲーム会社社長のホッグさん。新しいテレビゲーム、タウンズナイトパート2がうまく作れなくて、いっしょに前作パート1を作ったタクローに助けを借りようとやってきたのです。

 ところがホッグさんはタクローにうまく話を切り出すことができません。おもちゃ屋さんに行って突然の発売延期を知ったユーリとケン、マリーベルたちがわけを聞こうと家に帰ってくると、ちょうどホッグさんが帰って行くところでした。しょんぼり歩いていくホッグさんはなんだかさびしそう‥‥

 港でずっと水平線を眺めているホッグさん‥‥「マリーベルタンバリン! 心のしずくよ、出ておいで!」 心のなかをちょっとのぞいて見ると、そこはタウンズナイトの世界。黄金の種で砂漠を救うというそのゲームの中で、勇者の格好をしたホッグさんが追い詰められ、おびえ、ふるえていたのです。

 ホッグさんと直接話してみれば、発売が延びたのは新しいアイディアができないからだと言うのです。前作はホッグさんとユーリのパパたちが協力してできたもの。でもせっかくお花屋さんになれたユーリのパパに頼むことも出来ず、寂しげにまた仕事に帰って行くホッグさん‥‥「マリーベル、お願い、パパのかわりにホッグさんの力になれないかしら?」「だいじょうぶ! マリーベルにおまかせ!」

 ホッグさんの会社にやってきたマリーベル。「マリリンベルルンリンリンリ〜ン、タウンズナイトの世界へ、しゅっぱ〜つ!」 目の前のディスプレイが光ったかと思うとホッグさんはそれに吸い込まれていきました。

 ‥‥目を覚ましたホッグさんのまわりは一面のお花畑。いつの間にか、ゲームの中に引きずり込まれてしまったようなのです。

 「やるしかないか‥‥」

 そんなホッグさんの前に現れた、自称、正義と真実と誠実と勇気と美貌と愛と夢と花と龍、その他もろもろの妖精マリーベル。ホッグさんはマリーベルと共に冒険を始めます。

 途中、タクロー人形やローズおばあちゃんのヒントを得ながら黄金の種を手に入れたホッグさん。しかし最後に出てきた魔王は、なんとタクロー。タクローがいたから前作が売れたと思っているのが、ホッグさんのスランプの原因だったのです。

 「お前なんかに面白いゲームが作れるものか!」

 その言葉に魔王に突っ込んでいくホッグさん‥‥しかしホッグさんは、大事なのはむきになることではなく、心でゲームを作ることだと気付いたのです。すると投げ出した剣からつるが伸びて行き、魔王を締め上げて行くのです。そして魔王の苦しむ顔が、タクローからホッグさんの顔に! 魔王の正体は、ホッグさんの悩める心だったのです。

 「やったね、マリーベル!」

 こうして、スランプを脱したホッグさんはついにゲームを完成させたのです。

〈次回予告〉 〜 #17 「ジートのわるだくみ」 〜

 はーい、わたし、マリーベル。たいへん大変! 妖精ハンター・ジートが、また現れたの。どうやらまだタンバリンのことをねらっているみたい。リボンをさらって、わたしにタンバリンを渡せってせまってくるの。どうしよう! 次回、花の魔法使いマリーベル、『ジートのわるだくみ』。マリーベルに、おまかせよ!


  

Marybell Story Digest Ver.1999.07.24