まずは、Marybell Memories on WWWをご覧頂きまして、ありがとうございました。

 同人誌でMarybell Memoriesを発刊したのが93年冬、94年夏ですから、もはや5年の歳月が経ったのかと思うとなかなか感慨深いものがあります。花の魔法使いマリーベルの本放映からはすでに7年が経過しているわけですから、もはや花の魔法使いマリーベルも、当の昔に忘れ去られた一つの作品に過ぎないのかもしれません。

 花の魔法使いマリーベルが放映されていた頃は、確か相当数のアニメが作られていた時期だと記憶しています。その後、バブル崩壊以後しばらくはアニメの本数も激減。最近はOVAとのタイアップなどにより徐々に復活の兆しを見せ、今では深夜枠でのアニメや衛星放送の独自アニメなど、当時からすると考えられないほど大量のアニメが作成され、放映されるようになりました。見る人たちの嗜好に的確に追随していくために、作品のライフサイクルも半年程度、短いものだと13話(1クール)構成といったように短くなり、また色塗りこそはセル画的であってもコンピュータを利用したデジタル彩色やCG合成のアニメ作品がかなり増えました。今のアニメ界の現状からすると、『花の魔法使いマリーベル』という作品は、少なくとも今の子供たちにとっては「過去の遺作」とでも言うべき作品となっているのかもしれません。

 そんな状況下でもなお、Marybell Memories on WWWを作成しようと思い立ったのは、久しぶりに『花の魔法使いマリーベル』を見て、今のアニメ作品とのあまりのギャップを実感したためでした。最近のアニメ、例えばCCさくらと比較してみると、CCさくらが、見る人を楽しませるエンターテイメント性に主眼が置かれ、そして見事に成功しているのに対して、マリーベルという作品は、どちらかというとサニーベルという『街』を描くことに主眼が置かれ、作品に対して職人気質的なある種のこだわりを感じるのです。

 誤解されないよう書きますが、私はCCさくらという作品も非常に好きで、作品の出来の良さという観点では決してマリーベルに劣らない、むしろマリーベルより良く出来ている部分も数多くあると思っています。もともと、CCさくらとマリーベルはそれぞれ目指しているものが大きく違っているので、横並びにしてCCさくらとマリーベルのどちらが優れていると議論しようとしても、それは日本料理とフランス料理のどちらが素晴らしいか、というような、単なる好みの問題にしかならないと思います。私のように「どちらも大好き」という人もかなり多いでしょう。

 ただ、この二つの作品に限らず、バブル崩壊以前には比較的職人気質的なこだわりのある作品が多く、個性が非常に強かったこと、一方最近はエンターテイメント性重視の作品が多く、質的にも似通った作品が増えてきたことは、確かなのではないかと思うのです。

 実はこのことが、アニメが大量生産され、7年経った今になってもなお、私が『花の魔法使いマリーベル』という作品を忘れずにいられる理由の一つなのではないかと思うのです。皆さんが、『花の魔法使いマリーベル』という作品を思い出すとき、何を思い出すでしょうか? 私は、マリーベルやユーリといった主要なキャラだけでなく、この作品に現れたさまざまなキャラや繰り広げられるストーリー、そして軽快な音楽、引いては「サニーベルの街」を思い出します。ところが最近のアニメ、正確に言えば、花の魔法使いマリーベル終了後から今まで7年間に見て来たアニメでは、このような思い出し方をする作品というのは私には皆無なのです。

 ここまで私が語ってきたことは、単に昔を懐かしむノスタルジーであったり、『花の魔法使いマリーベル』への思い入れが屁理屈となって出てきただけの話に過ぎないのかもしれません。しかしそうであっても、たまたま思い出した昔の良き時代を、何らかの形にまとめていろいろな人に伝えたい。5年前とは違い、今はインターネットという情報手段を使えば非常に多くの人たちに伝えることができる....

 そんな思いが、私をMarybell Memories on WWWの作成へと導いたわけです。

 かといって、正直なところ、『花の魔法使いマリーベル』という全50話に関して、やりたいことはMarybell Memoriesですべてやり尽くしてしまったというのが実際のところでした。そこで今回のMM on WWWの作成では、書籍にはないHTMLの良さを出そうと考え、ハイパーリンクやカラー化などに工夫を凝らしてみました。Perlスクリプトの活用やFront Pageの活用で比較的見やすくレイアウトできたのではないかと思いますが、いかがだったでしょうか。

 ところで、お気づきになられた方はほとんどいらっしゃらなかったようなのですが、Marybell Memoriesの全話紹介には、私が当時、どうしてもフィルムの内容を文章に落とすことができずに意識的に削ったシーンやセリフが何箇所かあります。アニメ作品の感動を文章にするということは、物書きを本業とされる方ですらご苦労なされる作業です。ましてや私のような素人が書いてしまうと、文章になった時点でどうしてもアニメの感動は薄っぺらくなってしまうのです。そんな薄っぺらな感動を伝えたのでは、Marybell Memoriesの目的である、この作品の素晴らしさを伝えたいということに反してしまう....そういう思いから、私が本当にこの作品で感動したセリフやシーンは、敢えて文章化することを避けました。

 実は、今回のMM on WWWを作成するにあたり、この全話ストーリー紹介を加筆修正するか否かで相当に悩みました。全話解説、あらすじ紹介と言っているにもかかわらず内容的には不十分なのですから。しかし、今回、当時の原稿を加筆修正することは敢えてやめました。理由の一つには、当時、練りに練った文章よりも洗練された文章を書ける自信がないということ、そしてもう一つの理由は、未だ再放送すらあまり行われていない状況下において、まだマリーベルを見たことのない人の楽しみを奪いたくないことです。これに関しては賛否両論があると思いますが、何卒ご容赦頂ければと思います。

 なお、MM on WWWでは今でもマリーベルたちのことを想い続けている人たちのコミュニケーションの場を提供したいと考え、サニーベル伝言板という名前で掲示板を開設しています。この掲示板が、サニーベルの街の市民広場のように、マリーベルファンの憩いの場になってくれればと思っています。

 

 末筆になりますが、このサイトを見て、もしマリーベルに少しでも興味を持って頂いたり、思い出して下さって、皆さんがビデオなり再放送なりを見るきっかけになれば幸いです。

 

 また再びマリーベルたちの笑顔に出会える日まで。この想いを胸に。

Written by まちばりあかね☆ (99/08/03)