第50話 (93.01.18放映)

〈解説〉

 ついに本編全50話のフィナーレ、最終話『夢をあなたに』である。内容については今さら敢えてここに書くまでもないだろうが、まさに花の魔法使いマリーベルにふさわしい最終話と言えるだろう。

〈ストーリーあらすじ〉

 みんなの夢のエネルギーでよみがえったマリーベルはユーリたちと共に人間界へ向かいます。シェルボー教授によって燃やされている聖なる樹を助けなければ!

 燃えさかる聖なる樹の元へあわててかけつけた街の人たち。やってきたジートたちもあまりのことにただただあぜんとするばかり‥‥「わははは! 私は人類を救ったぞ! 英雄だぞ!」「みなさん、ご覧ください! 世界を恐怖におとしいれた聖なる樹が燃えております! これで‥‥これで‥‥人類は救われるのでしょうか‥‥これで‥‥本当に‥‥?」 高らかに響くシェルボー教授の笑い声‥‥

 「馬鹿者めが‥‥マリーベルが言っていたではないか‥‥人間は花や木なしには生きていけんのじゃ。それを燃やしてしまったらどうなる! あの男は間違っておる!」 バートさんはこぶしを握りしめるのです。

 「もう許さんぞ!」 とつぜん炎が飛び散って聖なる樹は元通りに! 吹き飛ばされるシェルボー教授! 「おのれ! この化物が! もう一回燃やしてくれるわ!」 しかし吹き飛ばされたときに火炎放射器は壊れてしまったのです。聖なる樹は根を触手がわりにしてシェルボー教授を捕らえると宙に持ち上げます。「おのれ‥‥くそ! はなせ!」「愚かな人間め‥‥やはりきさまたちに生きる資格などないのだ! 地球に生きている以上きさまたちもなにかの役に立つはずだと思ったこともあった‥‥だから今まではきさまたちの無礼な振舞いも見逃してきたのだ。しかしやはり人間はクズだ。自分勝手な、傲慢な生き物だ! 人間など地球上から消えていなくなればいいのだ。それが我々、花や木の結論だ!」

 かたずを飲んでその言葉を聞くみんな‥‥「おのれ! 好き勝手なことをほざきおって!」 シェルボー教授はガスタンクを投げつけます。「ふはははは、それで終わりか人間よ?」「くそ! はなせ!」「離してやるとも!」 聖なる樹はシェルボー教授を振り回すと思いっきり投げ飛ばすのです。このままでは地面に叩きつけられてしまいます!

 と、とつぜん空の一部が光ったかと思うとそこからマリーベルたちが! ついにマリーベルが人間界へ戻ってきたのです! なんとかシェルボー教授を受け止めてみんなの元へと降ろします。花魔法界から帰ってきたユーリたちとの再会を喜ぶみんな‥‥バートさんもマリーベルに語りかけるのです。「マリーベル‥‥聖なる樹をますます怒らせてしまった‥‥すまん‥‥みんなわしらのせいじゃ。なんとか怒りをしずめてくれんか?」「はい! マリーベルに、おまかせよ!」

 「聖なる樹さん! お話があるの!」 振り返って聖なる樹に語りかけるマリーベル‥‥「お前はマリーベル‥‥性懲りもなくまた人間どもの味方をする気なのか?」「そんなこと言わないで! おねがいだから話を聞いて! もうケンカはやめましょう!」「喧嘩‥‥? 冗談じゃない、これは闘いだ!」「人間の中に、思い違いをしている人がいることは確かだわ! だけど、だけどきっと、分かってもらえると思うの!」「分かる‥‥? いったいなにを分かるというのだ?」「人間と、花や木たちとのすてきな関係よ!」

 意識を取り戻したシェルボー教授をはがいじめにするバートさん。「こら! 立つんじゃ! この樹に謝るんじゃ! もともとあんたの始めた計画からこういうことになったんじゃ!」「冗談じゃない! わしはこの街のためにあの計画を!」「ウソよ! シェルボー教授はただ妖精を捕まえたかっただけだわ!」「シェルボー教授‥‥!」 マリーベルだけでなく、真実を知ったまわりの人々からも怒りがわき出すのです。しかしシェルボー教授はバートさんを振りほどいてさけぶのです。「だまれだまれ! わしは謝らん! 絶対に謝らんぞ!」「ぬうううう、なんというやつだ! マリーベル、こんなやつをかばうというのか?!」

 「シェルボー教授は、忘れてしまっているだけなのよ。人間なら、誰でも持っているやさしい心を、夢見る心を! マリリンベルルンリンリンリ〜ン、妖精さんたち、出てきてちょうだい!」

 あたりから飛び出してくる妖精さんたち‥‥「さあみんな! マリーベルの魔法の香水で、妖精さんたちと一緒に行きましょう!」 みんなは魔法のプロペラで空へ飛び出します。「さあみんな、私についてきて!」「な、なにをする気だ‥‥マリーベル?」「みんな、聖なる樹さんの傷ついた心を、妖精さんといっしょになでてあげて! 聖なる樹さんと、お話をするの!」 さっそくみんなで焦げついた聖なる樹の幹や枝をさすってあげます。「どういうことだ‥‥あんなにひりひりと痛んだ傷跡がみるみるうちに消えていく‥‥暖かい‥‥まるで春の野原のようだ‥‥」 あんなに凶悪だった聖なる樹の顔も、いつの間にか笑顔に変わっているのです。

 ひとり地面に取り残されたシェルボー教授。「聖なる樹が、笑った‥‥?」

 「元気になったの‥‥人間のやさしい心が、花や木たちを元気にするの。そして花や木たちも、人間の心をあたたかくすることができるの。シェルボー教授も、子供のころお花とお話ししてたじゃない。」「なに!?」「わすれちゃったの? でもあたしにはちゃんと、小さなシェルボー教授がみえるわ。花とたのしそうに話してあそんでる、とってもうれしそうに!」

 そんな昔のことを懐かしく思いだすシェルボー教授‥‥「ふふふ‥‥デタラメだね‥‥わしがそんなことをするものか。花と話してどこが楽しいんだ?」「あ〜ら? それじゃあ頭の上のお花はどういうわけかしら?」「こ、これは?!」「たのしい夢をもつ証拠よ!」

 シェルボー教授もお花のプロペラで空へ飛び出すのです。シェルボー教授のまわりにあつまる妖精たち‥‥その中の一人の妖精に連れられてシェルボー教授も聖なる樹の幹をさするのです。「おお、なんとまあ‥‥これはどうしたことじゃ‥‥懐かしい暖かさが手から心に染み渡ってくる‥‥まるで子供の頃に帰ったような気持ちだ‥‥これが花と話すということなのかい?」 うなづく妖精さん‥‥「よーし!」 シェルボー教授は両手をめいいっぱい広げて幹をたくさんさすってあげるのです。

 「おお、人間の心が‥‥伝わってくる‥‥なんて素敵なんだ‥‥」 聖なる樹は美しく輝き始めます。「分かってくれたのね? 聖なる樹さん!」「ああ、少しまぶしいかもしれんが我慢してくれよ! これから世界中に花や木を戻すからね!」 聖なる樹から飛び出た光の粒は地球のあちこちへ! パパベルやママベル、ジジベルやババベルも聖なる樹から飛び出してきます。「よくやったマリーベル!」「聖なる樹の中で見ていましたよ。」

 「聖なる樹よ‥‥私は恥ずかしい‥‥花や木たちにも、妖精にも本当にすまないことをしまった。許して欲しい‥‥」 シェルボー教授は聖なる樹にあやまるのです。

 「いや、謝るのはわしの方だ‥‥人間だけが忘れていたのではない。わし自身が大切なことを忘れておったようじゃ。人間も、花や木たちも、楽しく仲良く暮らしていく仲間だということをな‥‥ありがとう、マリーベル。よく、教えてくれたな‥‥」「マリーベルに、おまかせよ!」

 こうして、サニーベルの街の人々に、そして世界じゅうのみんなに笑顔が戻ったのです。

 「よーし、最後の仕上げにかかりましょうか!」 マリーベル一家のみんなでいっせいに花魔法を! 「マリリンベルルンリンリンリ〜ン! サニーベルの街をもとどおりにしましょう!」 五本のステッキから放たれた光は街のあちこちに飛んでいきます。すると崩壊した街はみるみるうちに元通りに! フラワーショップマリーベルにもまた以前と同じ、いや、前よりも美しく花々が咲き乱れるのです。街に戻ってくる花や木たち‥‥再びサニーベルの街は緑に生い茂る美しい街へと戻ったのです。

 街は人々の笑顔でいっぱい。妖精たちとなかよくたわむれるのです。

 空に現れるフラワーロード。「フローリア!」「よくやってくれました、マリーベル‥‥もう立派に、一人前の花の魔法使いです。」「フローリア、あたし、これからも、人間と花や木と妖精たちが仲よく暮らせるように見守ってくわ!」

 聖なる樹は花の魔法使いたちを連れて花魔法界へと帰っていきました。見送るみんなも笑顔ではちきれそう!

 バートさんもシェルボー教授も、ジートもユーリもマリーベルたちも、また再びいつもの生活に戻っていきました。花や木と仲良しの、とってもやさしい心を持って‥‥

 フラワーハウスの庭の花壇もきれいなお花でいっぱいになりました。もしかしたらあなたのお花も、この花壇の中にあるかもしれません。

[おしまい]


  

Marybell Story Digest Ver.1999.07.24