第48話 (93.01.04放映)

〈解説〉

 花の魔法使いマリーベル全50話をしめくくるラスト3話がスタートする。39話で登場したシェルボー教授が再登場し、シェルボー教授、聖なる樹、マリーベル、この三人のキャラクターが複雑にからみあうことになる。各キャラクターの動きなどはさすがに三話連編というだけあって見ごたえ十分である。

〈ストーリーあらすじ〉

 巨大な資材をたくさん積んでサニーベルの街を走っていく何台ものトラック。それは、シェルボー教授によるサニーベルの街の再開発のための資材を運ぶトラックだったのです。『未来に生きる人間のための街づくり』と称したその計画は、なんと、花や木を人の住まないところにまとめてしまって超高層ビルをたくさん建設しようというとんでもないもの。「あれは素晴らしい計画じゃよ! あの見事な建築を見たか?」 テレビで開発計画の紹介を見て感激するバートさん。「でもサニーベルの街が他の街になってしまうみたいよバート。」「それに花や木が街からなくなってしまいます。」「花や木たちの住むところを人間の都合で変えるなんてひどすぎるわ!」「ふーんだ! 街の発展の方が大切じゃわい!」

 しかしシェルボー教授は本当は街の再開発には興味などありませんでした。シェルボー教授の真の目的はただ一つ、花や木をなくしてそこに隠れている妖精たちをつかまえることだったのです‥‥街の人々がそんなことを知るよしもなく、そしてついに街の再開発が始まりました。

 そんなある日の夜、マリーベルはぼんやりと窓から外をながめていました。「どしたのマリーベル?」「うん、おかしいの。花たちの話し声が聞こえないの。」「ほんとだ‥‥いつもは夜でもおしゃべりしてるのに‥‥」「こんなこと、初めてだわ‥‥」

 その夜のこと、フラワーショップの花、ローズおばあちゃんのうちの花、街中のいろんな花や木から出た光が流れるように思い出の木の元へと集まってくるのです。そして思い出の木が光ったかと思うと、とつぜんまわりの地面から根が! とうとうサニーベルの街に異変が起こり始めたのです。

 次の日の朝、なにかに呼ばれたような気がして飛び起きたマリーベル。と、そこにフラワーコンパクトでユーリから連絡が。コンパクトを通してフラワーショップに移動すると、なんと花々が空を飛んでいるのです。「マリーベル、これどうなってんの?」「どうなってるっていったって‥‥マリーベルタンバリン! お花さんたち、しずかにして!」

 ところが花たちはおさまるどころかマリーベルに向かってつっ込んできたのです! マリーベルを押したおすと花はフラワーショップを飛びだして街の中心の方へ。「花がマリーベルの魔法をはねかえすなんて‥‥」 と、今度はローズおばあちゃんの悲鳴が。なんと庭の芝生が宙に浮き、そして次々と街の中心へと飛んでいくのです。

 「追うのよ!」 どうやら飛んでいったのはフラワーショップやローズおばあちゃんのうちだけではないみたい。街じゅうの花や木のすべてが街の中心へと向かっているようなのです。ビビアンたちと合流してたどりついたのはなんと思い出の木があったところ。そこには、なんと、今まで見たこともないような巨大な木がそびえ立っていたのです。あまりのことにぼうぜんとするみんな‥‥その巨大な木は飛んでくる花や木をことごとく吸い込み、まわりの家をつぶしながらみるみる太っていくのです。「マリーベル、いったいあの木はなんなの?」「あ、あの木は‥‥あの木は花魔法界の花や木の守り神よ!」「ぼくたちは聖なる樹と呼んでいるんだ‥‥」「聖なる樹は、すべての花や木の神様のようなものなの。いっつもやさしく、どっしりと花魔法界の中心にそびえているとっても古い樹なの。でも、聖なる樹が人間界に出てくるなんて聞いたことがないわ‥‥」

 「ふっふっふ、降って湧いたような好運だ。このへんてこな木の研究でまたわしの名声が上がることになる。」 ここぞとばかりやってきたシェルボー教授はさっそく大木を調べ始めます。ところがチェーンソーでもドリルでも大木はまったく傷つかないのです。

 ジートもバートさんを連れてマリーベルたちの元へ。「おお、信じられん。なんと巨大な‥‥どうなっとるんじゃこれは?」「花魔法界から来たんですって。」「なんじゃいそれは?」「妖精と花の魔法使いが住む世界よ。」「妖精? ふーんだ! 馬鹿馬鹿しい‥‥」 ところが目の前のタンバリンを見てさすがのバートさんもびっくり!

 「まだダメかいマリーベル?」「パパベル、ママベル、聞こえる? あたしよ、マリーベルよ!」 ところがマリーベルコンパクトを使っても二人に連絡が取れません。「花魔法界でなにかあったのかな?」「でもいったいなにが‥‥?」

 とその時、とつぜん爆発音が! 「なに?!」「シェルボーのヤツだよ! 爆薬をしかけたんだ!」 爆薬でも全く傷つかない大木にシェルボー教授は叫ぶのです。「おい君たち! 爆薬をありったけ持ってこい!」 するとシェルボー教授の上に光の雪が降ってきます。「こ、これは?!」 とっさに毒ガスマスクを取り出して身につけるシェルボー教授。「あれは?!」「聖なる樹が怒ったのよ!」

 マリーベルは花の魔法使いに変身するとマリーベルタンバリンで飛んで聖なる樹の前へ。 「やめて! 聖なる樹さん!」「なにをやめろと言うんだ、花の魔法使いマリーベル!」

 とつぜん聖なる樹の幹にあらわれる世にもおそろしい顔‥‥「わしは世界中の花や木たちを助けに来たのだ!」「助ける?」「そうだ! 人間は花や木をいらないと言った。わしは世界中の花や木を花魔法界に連れて帰るのだ。」「そんなことしたら大変なことになるじゃないか!」「花や木が消えたら地球は人間の住めない世界になっちゃうわ!」「わしは花や木を守るだけじゃ。人間がどうなろうと知ったことではない!」「あなたはかんちがいをしているわ! 人間と花は、おたがいに相手を必要としているのよ!」「わたしの邪魔をするなら、おまえも他の花の魔法使いのようになるぞ!」

 なんと、聖なる樹は花魔法界を出るときに邪魔をした花の魔法使いたちすべてを自分の中に取り込んでしまっていたのです。ジジベルやババベル、そしてパパベルやママベルも! 「ふはははは、わしの邪魔はだれにもさせない!」 さっと伸びてきた樹の枝の触手にたたき落とされるマリーベル! 「もう怒ったんだから!」 体勢を立て直すと花魔法で応戦します!

 「マリリンベルルンリンリンリ〜ン、花吹雪よ、聖なる樹をつかまえて! フラワーハウス、カモン!」

 フラワーハウスを聖なる樹の頭上にワープアウト! 「さあ、聖なる樹を花魔法界に連れてってちょうだい!」 フラワーハウスの直上に花魔法界へ通じるフラワーロードが現れ、そして花吹雪が強烈に聖なる樹を吸い上げます。花魔法に必死に抵抗する聖なる樹! しかし根が一本、また一本、地面から抜き出されていくのです。「やったね、マリーベル!」

 ところがとつぜん聖なる樹がまばゆい光を放ったかと思うと、なんとマリーベルの花魔法を打ち破って元どおりに戻ってしまうのです。聖なる樹から伸びた触手はフラワーハウスを直撃! フラワーハウスはこっぱみじんに大破してしまうのです。その上いっしゅんひるんだマリーベルを触手が捕らえてしまいます。「ふはははは、そんな花魔法ではわしをたおすことはできん!」 マリーベルを振り回して気絶させ、自分に取り込もうとする聖なる樹‥‥

 「マリーベル!」「マリーベル、しっかり!」 みんなの悲痛な叫びもむなしく目を覚まさないマリーベル‥‥もはや絶体絶命です!

〈次回予告〉 〜 #49 「マリーベルと聖なる樹」 〜

 はーい、わたし、マリーベル。全世界の花や木、妖精たちをあつめて花魔法界に戻ろうとする聖なる樹。でも、あたしは、聖なる樹にすべての力を吸いとられてしまったの。ユーリ、ケン! あたしにはふたりの夢の力が必要なのよ! 次回、花の魔法使いマリーベル、『マリーベルと聖なる樹』。マリーベルに、おまかせよ!


  

Marybell Story Digest Ver.1999.07.24